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本間直樹さんは、大阪大学文学部で哲学を教えている。文献を講読するスタイルの授業以外にも対話に関するワークショップ形式の授業を担当している。 大阪大学の臨床哲学講座といえば、大学から街中に飛び出して、哲学の実践を行う取り組みで有名だ。本間さんは、その臨床哲学講座のなかで、「学校」という現場について考えてきた。(『哲楽』第4号、p.29)
田中:はい、改めまして田中です。本日は大阪大学コミュニケーションデザイン・セン
ターのオレンジショップという場所で、大阪大学准教授の本間直樹先生のインタビュー
をさせていただきたいと思います。本間先生、今日はよろしくお願いします。
本間:よろしくお願いします。
田中:はい、本間先生はですね、子供の哲学教育という分野の研究をなさっているとい
うことで、今回私どもの編集しております『哲楽』という雑誌の第4号の特集の一環とし
て、今回お話をお伺いにまいったんですけども、子供の哲学教育ということに関心をお
持ちになったきっかけについて、子供の哲学教育とは何か、というと定義のところも含
めてお伺いできないでしょうか。
本間:そうですね、大きくは2つきっかけがあるんですけれども、1つは臨床哲学という
大阪大学でなされている試みというか活動といいますか、それに私がふれるようになっ
たというか、ふれるというよりも今はその中にかなり巻きこまれてやっていますけれど
も、臨床哲学を通して哲学を考え直すという経験があったことと、その臨床哲学を通し
て哲学を考え直すという、そういう模索の中で出会ったものが、今は日本でもやってお
りますけれども、日本以外の国でなされていた「子供のための哲学」というプログラム
があって、それを知ったのがきっかけです。大体、1999年くらいの頃ですね。
田中:そうすると今から10年以上前っていうことになりますけれども、そちらにふれら
れたきっかけっていうのは、何か文献が最初だったんでしょうか。
本間:どうも、哲学者がいろんな人と対話するということを通して、まあそこから先は
人によって様々なんですけれども、何かに貢献すると。その何かとは教育であるかもし
れないし、健康であるということかもしれないし、あるいは地域での暮らしということ
になるかもしれないし、様々なんですけども。またはあるいは病院のよりよき生活とか、
いろいろだと思うんですけれども、哲学者が関わる。そういうものを考える哲学プラク
ティスという学会がありまして、たまたまその学会に参加した時にその発表を聴いて、
子供のための哲学があると。で、ビデオも見せてもらって。最初は興味本位で、「ふうー
ん」って感じでしたね。で、でもまもなく臨床哲学という試みの中で、学校というもの、
教育というよりは、学校という場所は私たちにとって何だろう、みたいなところですね。
何回も研究会を開いて、いろんなゲストもお招きしながら考える機会というのをずっと
やっていましたので。それで「学校って何だろう」っていうことを考えることと、哲学
ということが、そういうことを通して、「子供のための哲学」という活動を通してです
ね、学校の中で繰り広げられているということの両方に関心が向いていったということ
で。その2つは、少なくとも私の中では今もずっと平行してあることですね。学校という
もの、社会の中の学校と、私を考えるということと、子供のための哲学。それを両方考
えたい時に、子供のための哲学というものも面白いし、私も今、熱心にやっているんで
すけれども、単に語呂っていうか、子供のための哲学って言うのがまどろっこしいって
いうのもあるので、縮めて「子供の哲学」っていうふうに呼んでいることもあるんです
けれども、ちょっと言い方を変えたついでに変えてみようかなと思うのは、学校ありき
とか、教育ありきとか、あるいは哲学ありきではなくて、そういう私がずっと追っかけ
てきて考えてきたことというものを名指す一つの記号というか、何か区別することとし
て「子供の哲学」というのは、個人的には、それはどこにも別にそれに定義をつくって
書いているわけでもないんですけれども、私の中ではそれはありますね。
田中:そうすると今、本間先生の中にある理想の哲学教育を学校でするとしたら、それ
はどういう形に…。
インタビューをまとめた記事は哲楽第4号でお読み頂けます。