サンデル教授からのメッセージ

2010年11月26日

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マイケル・サンデル
1953年アメリカ合衆国ミシシッピ州生まれ。共同体主義者の代表的政治哲学者。ハーバード大学教授。日本のNHK『ハーバード白熱教室』という番組でその授業が放送されると人気を博し、その著書『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)はベストセラーに。
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――一連の哲学的思想を通して、どうやったら、若い学生達が独自の哲学を探究することができるのか、お考えをお聞かせ下さい。特に経済不況で、一般の人々が原理に基づく難解な哲学を歓迎していないときに、学生達はどうすべきでしょうか。

若い人々は、自分自身のために考える習慣を身につけることができるし、そうすべきだと思います。

政治に関することや世界の理想的なあり方、個々人の人生において何が倫理的な生き方と思えるか、そうしたことについて、先生の質問にもとづいて、お互いに意見を戦わせたり議論したりすることができます。

道徳的な選択や道徳的信念について、自分たちの人生や、政治に対する考え方や政治的な問題と関係しているのかどうか、こうしたテーマについて、学生達はたとえ哲学者でなくても、互いに敬意を払いながら、けれど真剣に考え、論理的に考えることがとても重要だと思います。

そうしていけば、やがて、哲学的な問題や想定について深く考え始めることになるでしょうし、始めるのが早ければ、自分たちが考え論理的に推論することができると感じるようになり、成長するに従って自分の意見が変わることもあるでしょう。

しかし、先生と一緒に丁寧にそして哲学的理解を深めていけるようにして、論理的に推論することの力や習慣を伸ばしていけば、最終的には、有能な市民になることができます。

なぜなら、市民になることとは、日常的な世界が想定していることについて批判的に考えることであり、それはまさに哲学者がしていることだからです。