前回、外国人の臓器移植の問題について取り上げたところ、本当に日本にいる外国人でも臓器提供できるのかという質問を頂きました。そこで、移植移植に関する主要な団体に問い合わせしてみました。今日は、(公社)日本臓器移植ネットワークのご担当者の方から頂いた回答についてご紹介したいと思います。
Q1: 日本の臓器提供に関する法律や意思表示の仕方についての啓発活動のなかで、外国人に対して、日本語以外の言語で情報提供はされているのでしょうか。
A1: ホームページや意思表示カードには英語表記もしております。
Q2: 日本に居住中または旅行中の外国人が、亡くなったり、脳死状態に陥ったりした場合、日本人と同じように臓器提供者になることはできるのでしょうか。
A2: できます。どの国でも、亡くなった国の法律に従って、臓器提供を行います。
Q3: 外国人でも臓器提供者になれる場合、外国人やその家族に対する意思確認やその後のケアはどのような方法がとられるのでしょうか。
A3: 外国人に対する医療・治療と同じように、通訳を付けて、時間をかけて慎重に行います。
Q4: 外国籍の人でも、何らかの病気により、臓器の移植を日本で希望する場合は、日本の移植希望登録リストに登録することができるのでしょうか。
A4: できますが、日本は臓器提供が大変少ないため、海外の方が日本での移植に希望を持って来日されることはほとんどありません。日本人が海外に移植の機会を求めて渡航するばかりです。
Q5: これまでに、外国人が日本で移植希望リストに登録し、臓器移植を受けた例はございますでしょうか。
A5: 移植を受けた方の国籍はデータにございませんし、公表もしておりません。お名前は日本人のようでも、外国籍の方もいらっしゃったかもしれません。国籍による区別はしておりませんのでご了承ください。
Q6: 希望登録に際して、外国人枠等の制限や条件がございましたら、ご教示いただけますでしょうか。
A6: 特にございません。
というわけで、日本に暮らす外国人でも、万一のことがあれば、臓器を提供したり、移植を受けたりするための話し合いに参加することになります。ただし注意すべきことは、臓器の提供に関する生前の意思表示の仕方は、日本のルールに従うことです。
さて…
あなたやあなたのご家族が、臓器提供しないかと言われたら、どうやって決断しますか?
あなたやあなたのご家族が、臓器移植を待つ患者さんなら、どんな医療制度を望みますか?
哲楽第3号は残念ながら日本語のみで書かれていますが、日本の哲学者、法学者の皆さんによる考え方のヒントを特集しています。今、臓器移植に関して、何らかの意思表示が求められている以上、特定の宗教の考え方に従うというのも一案ですが、自分で考えて決めたい人には参考にして頂けるのではないかと思います。私自身も、色々な立場の方々のお話に接するたびに考えが常に揺れ動きますが、その度にこの特集号を読み返して、自分の意志を確認しています。
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