ヴィトゲンシュタインと臨床哲学

2010年10月4日

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中川 雅道(なかがわ・まさみち)
1986年生まれ。大阪大学文学部卒。現在、大阪大学大学院文学研究科博士前期課程在籍中。

現役の哲学の学生さんである、中川雅道さんにお話をお伺いしてきました。中川さんとは、今年の夏に開かれた若手哲学者フォーラムで初めてお会いしたのですが、改めてきちんと話を聞くべき若者なのではないか、という義務感に駆られました。今回、その衝動に従って、大阪大学までお伺いしてきましたが、大正解でした。今回の訪問で、臨床哲学がこんなに素晴らしい若手哲学研究者を養成しうる場であることを、改めて実感できました。前半は哲学カフェの実践のお話、後半はヴィトゲンシュタインと治療の概念についてのお話、さらに生の哲学のお話になります。どうぞお聴き下さい。お話のなかで登場する研究会や哲学カフェの詳細については、下記にてご覧頂けます。中川さんがご発表予定の関西倫理学会大会は11月5日から南山大学で開かれます。

インタビュー抜粋

――哲学の生態に迫るウェブ・マガジン『Philosophy Zoo』哲学ラジオのコーナー
を担当します田中紗織です。

早いものでこちらのコーナーも、第4回目を迎えるんですが、本日はこのコーナー
が始まって以来はじめて、関東圏を脱出して関西圏に来ております。場所は、
大阪大学文学研究科がある豊中キャンパスです。大阪大学で哲学が学べるとこ
ろと言えば、臨床哲学という分野の研究室があることで有名です。臨床哲学と
は、医療や教育、介護などの現場での問題を掘り起こしながら、哲学する分野
です。今日はそちらの修士課程に在籍中の現役の学生さんである中川雅道さん
にお話をお伺いします。

中川さんにお会いするのは、実は今日で二度目なのですが、最初にお会いした
ときに、なんだか牧師さんの修行中のような方だなという印象を持ったのを覚
えています。とても謙虚で温かいお人柄の方です。そのお人柄や背景にある哲
学の魅力に迫りたいと思い、さまざまな活動の調整でお忙しいところ、無理を
言って、今日はお時間を頂きました。それではさっそくいってみましょう。

はい、改めまして田中です。中川さん、今日はどうぞよろしくお願いし
ます。

中川:よろしくお願いします。

――最初にですね、映画を見たあとに開かれる哲学カフェというのを大阪
の地下鉄中央線九条駅近くの「シネ・ヌーボー」というミニ・シアターで、
そのミニ・シアターの近くの喫茶店で行われているということですが、そのお
話をちょっと最初にお聞きしたいと思います。その、良い意味でマニアックで、
年代物の映画なんかも上映されているんですが、ここではどんな哲学カフェの
運営をされているんでしょうか。

中川:まさに仰る通りで、すごくマニアックな映画が多くて
ですね、まあだから逆にその、ふつうの映画に飽きたひとが個々で行かれるよ
うな映画が多いというのもたしかです。そういう映画を、まあ見たあとに近くの喫茶店に移動して、まあ二時間くらい、これも入出自由ということでやっていますけれども、近くの喫茶店に集まって、それでまあ二時間ほど、映画について話すことをスタートにして、実はまあだいたいそうなんですけど、映画ってその、見たひとによって何を見たかがずいぶん違うので、そこで、「なんでこの、そういう意見が出てくるのかな」とい
うのを考えていると、その映画に映画監督がうまく仕込んだ、仕掛けみたいなものがすこしずつ見えてくるときがあるんですね。そういうことをスタートにして、まあ哲学できないかなぁと思って始めたのがこの企画です。
――じゃあ企画自体は、臨床哲学講座のほうでもすでにあったものを引き
継がれたという形なんでしょうか。

 

中川雅道さんのインタビューは「哲楽」第1号と「哲学者に会いにゆこう」でお読み頂けます。

哲楽創刊号

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