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(2011年10月3日収録)
若き美学研究者である星野太さんと『サルトルとボーヴォワール 哲学と愛』を観賞後、映画の内容と星野さんご自身のご活動についてインタビューしてきました。普段芸術作品を制作している作家さんと対話している星野さんの目に、サルトルとボーヴォワールの批評し合う関係はどう写ったのか、また、彼らの思想が本国以外で同時代的に受け入れられた背景に何があるのか、伺いました。
田中
改めまして田中です。今日は東京大学の表象文化論という研究室を修了されて、日本
学術振興会のPD研究員をされておられます星野太さんと『サルトルとボーヴォワール』
という映画を観てきましたので、その報告をしたいと思います。星野さん、今日はよ
ろしくお願いいたします。
星野
よろしくお願いします。
田中
星野さんの研究の内容について教えて頂きたいんですけれども、美学とは何かという
ところを高校生にもわかるように教えて頂けないでしょうか。
星野
はい。私は学部生のときに美学芸術学という研究室に所属していました。美学の研究
対象というのは色々なところで聞かれることなんですけれど、大きく分けて(1)観念
的な対象としての美、(2)芸術作品(これを対象とするものは芸術学と呼ばれること
もあります)、(3)より広い意味での感性を対象とする哲学的な研究、それらを含め
て美学と呼びます。自分の場合は、三番目の感性的な領域を対象とする研究を主にし
ています。
田中
今博士論文を執筆中ということで、テーマが「崇高」という概念について、歴史的に
どう捉えられてきたかということを中心に書かれているということですが、ーーフラ
ンスにも行かれたということがあるということでーー崇高概念の共通性というものが
明らかになってきているのでしょうか。
星野
はい。もともと自分は修士の時はフランスの20世紀の現代思想を中心に研究をしてお
り、ジャン=フランソワ・リオタールというフランスの哲学者の崇高概念の研究をし
ていました。その後博士課程に進学して、フランスのリヨンというところに留学して
いたんですけれど、その時に、現代にかぎらず、古代から初期近代にかけての崇高概
念の生成と受容という、系譜学的研究を自分の研究の中心に据えようと思いました。
それ以降は、偽ロンギノスによる紀元一世紀の『崇高論』という著作が当時の古代ギ
リシア・ローマの文脈にどう位置づけられるかということと、それが17世紀以降のヨー
ロッパ各国でどう変容していったかということを中心に据えた博士論文を執筆してい
ます。
田中
何か芸術作品をご覧になったりそういう活動もなさっているんですか。
星野
そうですね。主に現代美術に関して、批評を書かせてもらったりもしています。後は
時々実際に作家さんとトークイベントで作品について伺ったり、伺うだけではなくて、
作家の方とお互いフィードバックし合えるようなこともやっています。
田中
作家さんというとどのような種類の作家さんになるんでしょうか。
インタビューをまとめた記事は哲楽第2号でお読み頂けます。