哲楽メールマガジン5月9日号

2017年5月9日

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哲楽編集人・田中さをり

 哲楽メールマガジン

2017/5/9日号 vol.25

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『現代哲学ラボ第4号――永井均の無内包の現実性とは?』

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『現代哲学ラボ第4号――永井均の無内包の現実性とは?』

「現代哲学ラボ」は、現代哲学の領域で哲学的な思索を発信している人たちが集い、次世代に哲学を伝える場を作り出すことを目的としたトークイベントです。哲楽編集部では、この記録を電子書籍版『現代哲学ラボ』として発行しています。

2016年9月23日に早稲田大学で開催された〈私〉と〈今〉を哲学する——無内包の現実性とは?では、永井均氏をゲストにお迎えし、森岡正博氏と入不二基義氏とトークを行いました。「現代哲学ラボ」第4号は、この時に収録した音源をテキストとして再現し、図や脚注により、解説を加えました。
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はじめに
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2016年9月23日、早稲田大学戸山キャンパスにて、第4回現代哲学ラボが開催された。
現代哲学ラボとは、現代哲学の領域で哲学的な思索を発信している人たちが集い、次世代に哲学を伝える場を作り出す活動で、世話人の森岡正博、田中さをりと、賛同人の永井均、入不二基義の4名で運営している。この日は、同年3月に「存在と時間──哲学探究1」を上梓した永井とともに、森岡と入不二がコメンテーターとして登壇した。
事前に着々と資料の準備を進めていた森岡と入不二に対して、永井はこの時すでに次の著作に取りかかっていた。時間の実在性をめぐる議論を展開したマクタガートは、未来から今に向かって時間が動くと述べたが、永井もまた、数ヶ月前から予定されていたこのイベントがこの日に実現した時点で、6ヶ月前に書いた自著の世界から遠く離れていた。考えたことが活字になって読者の元に届き、書かれた内容を深く吟味する頃には、著者自身の関心は別のところに動いている。この記録が公開される頃には、それはさらに遠くなっているはずだ。常に書きながら進んでいる永井の関心事を正面から捕まえるのは至難の技なのである。
至難の技といえば、もう一つ。良い哲学書ほど、議論の展開に触発されて自分自身の哲学を展開したくなるものだが、哲学書の内容を吟味する際には、論脈に忠実に沿うことが求められる。永井は「ひたりつく」という動詞を造語してまで論脈に忠実に沿うことを重要視している。一方で入不二はこの日、永井の「無内包の現実性」には、〈私〉や〈今〉という中心性が残っているため、「それではまだ無内包性が不十分だ」と指摘した。内包とは、概念に含まれる意味や性質を指すが、永井哲学の議論を厳密にするために、内包が無い段階を指す「無内包」の導入について、入不二は過去に提案していた。いつもは本人以上に永井哲学を精緻化することを得意とする入不二だが、この日は、「現実」という概念に何が含まれるべきかをめぐって、二人の「主題の違い」が露わになった。森岡もまた、生命論の立場から、「無内包の現実性」は、私の誕生や死で区切られた「生きられている」状態と独立に存在するようなものなのかが気になっていた。このため、この日のテーマの「無内包の現実性」が、永井の著作の中でどう展開されていたのかについて、登壇者の誰もが完全には追いかけられなくなりつつあった。
しかしそれでもなお、「無内包の現実性」の輪郭がはっきりした瞬間が幾つかあった。永井の主題において、今もって手放せない論点がどこにあるのか、入不二との議論の中で明確に語られた。また森岡の指摘により、インド哲学との接近の可能性についても示唆された。
ここからは、この現代哲学ラボで記録した音源をできるだけ忠実に再現した議論の内容をお届けする。「あれ」や「これ」などの指示語、ジェスチャー、板書の内容もできるだけ補足しながらそのまま残した。今回は前回と違って愛の論点は含まれないが、知に対する孤独な愛の断片を見つけて頂きたい。

現代哲学ラボへ、ようこそ!
(本編は以下の電子書籍にてご覧ください)

現代哲学ラボ第4号――永井均の無内包の現実性とは?

哲楽編集部 編
語り:永井均・森岡正博・入不二基義
定価:370円

もくじ

    • はじめに
    • 無内包の現実性とは
    • 森岡正博コメント
    • 入不二基義コメント
    • 永井均応答
    • 鼎談
    • 質疑応答

 

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編集後記

前回のメルマガからずいぶんと時間が経ってしまいました。半年ほど研究休暇をいただいており、ご心配をおかけしました。

お休み中に色々な広報関係の仕事を最小限にして、できるだけ自分のための時間を確保しました。論文や本の原稿を書いたりする以外は、英語の勉強をしたり、将棋をしたり、ピアノを弾いたり。喫茶店で会うのは現役引退世代の方たち(笑)。そうして過ごしているうちに、すっかりリフレッシュすることができました。自分自身が心身ともに健やかでないと、人様の言葉を広く伝える仕事はできないものだと改めて思いました。

研究以外の時間で一番リフレッシュできたのは、英語の勉強のために見始めた海外ドラマ、「ビッグバンセオリー」です。オタクな物理学者たちと隣に引っ越してきた普通の女の子が出会う話から始まりますが、あのホーキング博士がゲスト出演する回もあり、物理学という学問分野の広報としても強力です。とくに脚本が素晴らしく、物理学者という社会から見た変わり者たちが、どういう幼少期を経て多様な人たちと交流して、漫画やゲームにはまって、恋愛をして、成長していくか、一人一人が多角的に描かれていて、本当に自分の家の隣に住んでいるかのように思えてきます。

物理学者を哲学者に置き換えて見ても、あまり違和感がないように思えるのが不思議です。私は英語字幕で観れるNetfixという映像配信サービスを使いましたが、DVDも出ています。自分の笑いのツボに合うコメディが身近にあると、前向きな気持ちになれますので、気になる方は是非チェックしてみてください。ただ、かなり中毒性があって途中で止められなくなるので、仕事や学校がお休みの日に観ることをお勧めします!

何はともあれ、工夫次第で社会の中でも細々とした研究活動は続けられるものであります。ありがたいことに、哲楽という場所には編集人が休んでいても毎日多くの方が訪れてくださっています。今月は、哲楽ウェブサイトで掲載する記事の受付を始めました。哲学という接点をもつ皆さんが広くゆるくつながる場所になればと思いますので、研究者の方もそうでない方も、是非ご投稿ください。お待ちしております。

哲楽編集人・田中さをり

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